高額な現代の葬儀はお寺事情で始まった?

葬儀
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もともと葬儀はお寺で行うことが普通だった

 
先日、ある宗教関係者の方に聞いた話です。直接自分では、お寺などへ取材などしていないのですが、昨今の葬儀事情と僧侶の関係性のことです。

ある特定の地域とお考えいただいてもいいでしょう。時代的に明治と現代がクロスオーバーされている気がしましたが、流れとしては、おかしくないかと思い、ほぼそのまま記述します。

本来、仏教と葬儀は関係ないという説がちまたにはたくさんありますが、そんなことはないそうです。確かにプリミティブな仏教までフォーカスするとなんとも言えないのですが、現在のようにお寺と檀家という関係、さらに仏教心というものは、葬儀、供養と深く結びついています。

もともと、葬儀はお寺でするものでした。ご遺体をお寺に運んで、お経を唱えて土葬します。しかし、お寺にどんどん、ご遺体が集まってくるのが日常化して、お寺も困ったらしいのです。

そうこうしているうちに法律やら何なやらいろいろ整備されてくるわけです。

それでも、お寺にどんどんご遺体が集まってくる。どうしたらいいものか。この時点ではお葬儀はお寺でするのが当たり前の時代です(地域や宗教によっては異なる場合もあります)。

>>>知っておきたい葬儀会社の選び方の基本
 

家や公民館で葬儀が行われるようになった 


 
そして、お寺でご遺体を預かるのは大変だ!ということになって、家で葬儀が行われるようになったらしいのです(調べてみると、実際には明治時代に自宅で葬儀を行った記録などがあります)。

実のところ、その宗教関係者が言いたかったことは、ご遺体がごろごろあるお寺に嫁の来てがなくなってきたということでした。もちろん、お寺によって違うでしょうが、妙なリアリティを感じました。

お寺以外で葬儀をしないスタイルは、そこから定着したそうです。今でも、会館などで葬儀をあげても、お寺にお参りするという習慣が残っており、それが当たり前という地域ももちろんあります。

さて、葬儀を家で行うようになってどんな変化が出てきたのか? ここでいくつか分岐します。町内会などで、葬儀に関わる備品などを備えているようなところは、そこから借りて葬儀をおこないます。

棺などは、手配しなければなりませんが、葬儀にかかる費用はほんとに公的な斎場くらいです。実際、筆者の田舎では20年くらい前にこの方式に近いやり方で、親を見送りましたが、葬儀費用は親族だけの参列だったので20万円もかかっていません。

当時でも都会では100万とか普通の時代だったので、ずいぶん安くついたなあと記憶しています。
 

葬儀会社が仕切る葬儀が全盛に

 
少し話がそれましたが、葬儀を行うのに、家や会館を使って、親族だけでほぼ葬儀を執り行う方式、それに加えて、立派にするためにちょっと葬儀会社が入ってくる方式、そして葬儀会社が全面的に行う方式の三つに大きく分岐したようです。

その後、核家族化、少子化、都心への人口流入の加速などがあって、家族や親族だけで葬儀を行うことが難しくなり、葬儀会社全盛期が幕開けます。

昔は、お寺で葬儀をして、葬儀や供養は僧侶が仕切っていたのが、葬儀会社が僧侶に代わる時代に入っていったのです。

それでも、昭和の頃は、檀家制度がある程度維持できており、葬儀会社とお寺の住み分けはできていました(今でも住み分けしている地域はあります)。

ところが、上記の通り、ライフスタイルが変わり、普段から寺院とのおつきあいがない家庭が都会を中心にどんどん増えていきました。葬儀をするときに、どのお寺に頼めばいいのか?どうしましょう?となる家が続出したのです。
 

葬儀と供養にさまざまな業種が参入 


 
葬儀会社も気心で知り合いのお寺を紹介していたようですが、結局は紹介料をとる僧侶紹介会社のようなところがでてきました。

また、ネット時代には公に僧侶紹介をビジネスにすることも当たり前のように始まりました。葬儀と供養は、本来個別の仕切り(葬儀は葬儀会社、供養は僧侶)だったのですが、その境が無くなった時代です。時代といっても最近ことです。

ありとあらゆる業界が雪崩をうって参入し、葬儀と供養の産業化を強烈に推し進め、マーケット肥大をあらわにしたのは、恐らくここ10年ほどの話ではないでしょうか。

昔からの葬儀会社が、時代に合わせるように葬儀の高額化を進めてきたことで、異業種がその収益性の高さに目をつけ、我も我もと手をあげたと言えるでしょう。

もちろん、そこには高齢者が多くなっているというマーケット拡大も理由です。
IT会社、小売業、鉄道会社などが参入し、まあまあ大変な時代になりました。今や葬儀と供養サービスは群雄割拠の時代と言えるかもしれません。

しかし、高額化している中で、妙な変化も起きてきたのです。直葬と呼ばれる葬儀をしない見送りです。それはそうでしょう。

家族葬といっても50万〜100万円以上かかるのです。葬儀サービス会社を通じて、僧侶を手配すれば、本来のお布施にプラスアルファのマージンを支払わなければなりません。

直葬形式にすれば20万円程度ででおさまるのに・・・。 しかし、直葬にも葬儀会社は、各種サービスを展開しています。ニーズに応じた対応というのでしょうか。
 

再び宗教的な意味合いを葬儀と供養は強めるのか? 


 
宗教儀式という本来の意味が形だけになり、サービス産業になってしまっていることに嘆いている僧侶は少なくないそうです。急激に肥大したマーケットは、急速にしぼむ可能性をはらんでいます。

最近、寺院葬という言葉がよく見られるようになりました。昔のように寺院で葬儀を行うことです。直葬と寺院葬は、何らかの形で結びつき、これからの葬儀に変化をもたらすかもしれないとのことです。

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