〜はじめに〜
現代的な3つのお葬儀方法を紹介します。無宗教の方でも仏式で葬儀を上げる方が多くみられますが、回忌法要がしにくかったり、仏壇の管理が大変であったり、本当の仏教徒でもないのに昔からの慣習だけで仏式のお葬儀には違和感がある。そんな方に読んでいただきたい記事です。
生前葬は無宗教者におすすめ
生前葬とは、本人が生存しているうちに本人の意思により行われる葬儀のことです。生前葬を行う主な目的に「生きているうちに、お世話になった方や友人、旧友などを招いてお礼を述べたい」、「健康なうちに葬儀を行い、家族の負担を軽減したい」という考えがあります。
また、定年などを機に、新たな人生をスタートさせるイベントとして行うこともあるようです。仏式や神式以外に、ホテルなどを会場としたパーティー形式でも行われるのは、そのためでしょう。
なお、生前葬は葬儀よりも告別式的な要素が強く、本人が死を迎えた場合は、再び葬儀が行われることがあります。その場合は家族や親しい関係者のみでの密葬が多いようです。
生前葬の大きな特徴は、自らが主催者になれるということ。自分の趣味や愛用の品、音楽や装飾などを用いた理想通りの式が行えます。ただ、生前葬は未だ一般に浸透しているとは言い難く、服装や香典はどうすればいいのかなど、招待者には前もってきちんとした説明が必要です。招待状には具体的な主旨を記載するなど、快く出席できるような配慮を盛り込みましょう。
想い出話に花が咲くひと時「ホテル葬(お別れの会)」
ホテル葬とは、その名の通りホテルで行う葬儀のこと。バリアフリー対策がしっかりしていたり、駐車場の確保がしやすいなどのメリットがあります。しかし結婚式披露宴に使用する会場を葬儀に用いることに抵抗があり、あまり普及していませんでした。しかし近年は、あらかじめ別会場で密葬を行っておき、対象飾に遺影を、焼香の代わりに献花を行うという方法で対処されています。つまり、ホテル葬とは本式的な葬儀ではなく、故人を偲ぶ会など、お別れの場として考えられています。
お別れの会とは、宗教色を抜いた自由な形で行う葬儀です。ホテルやレストランで行われ、主催者・参列者ともに平服を着用した、パーティー的な形態が一般的です。なお、よく似た言葉に「偲ぶ会」がありますが、無くなってから14〜50日以内に行われる会を「お別れの会」、一周忌以後に行われる会を「偲ぶ会」と呼ぶことが多いようです。
お別れの会は、大勢の会葬者に別れの機会を提供できるメリットがありますが、遺族にとっては葬儀を2度行うことになり、経済的な負担となります。そのため、社葬や団体葬と比較して、一般葬ではそれほど行なわれていません。
心ゆくまで想いを込めて「密葬」「家族葬」
本来の密葬とは、社葬などの大きな葬儀「本葬」を行う前提で、親族のみで火葬を済ませて行う葬儀を言います。現在でも、年末年始にかけて故人が亡くなった時に密葬を行い、後日改めて本葬を行うことがあります。しかし近年は密葬の意味もあいまいになり、一般の会葬者を呼ばずに行う葬儀をそう呼ぶようになりました。同様の意味で、家族葬という言葉もあります。
密葬は、比較的小規模な式場で行われます。葬儀の内容は、葬儀社によって異なり、一般葬と同じところもあれば、仏式の場合なら、僧侶に読経をあげてもらう程度で、儀式的、形式的なことを省くところもあります。人数面でも小規模なので、低予算で済むという経済的なメリットがあります。また、弔問客の対応が混雑することもなく、故人との別れの時間をゆっくりと過ごせます。
密葬の意義は、故人の死を隠すことではありません。密葬を済ませた後に、知人や友人に挨拶状を出し、密葬もしくは家族葬を行ったことを伝えましょう。また、葬儀に関しては、後々親族と揉め事になるケースもあるので、密葬にあたっては事前に相談するか、断りを入れて了承を得るようにしましょう。
大自然に抱かれる安らぎを「自然葬(散骨)」
自然葬とは、海や山などに遺灰を還すことにより、自然の大きな循環の中に回帰していこうという葬送方法です。葬儀の後に火葬してから行う場合が一般的ですが、火葬だけをして散骨することもあります。
自然葬を行う場合、トラブルを防ぐためにいくつかの注意点があります。まず、遺族親族間の同意を得ること。たとえ故人が遺言に自然葬を望むと記していても、葬送の方法や遺骨管理の希望は法的な拘束力がありません。後に「勝手に自然葬にした」と苦情が出ないよう、事前の合意はきっちり取りましょう。次に、他人の私有地には勝手に撒かないこと。土地の所有者の許可なくして散骨はできません。陸地よりも海洋散骨が主流なのはそのためです。三つ目は、散骨の際は周囲への配慮を忘れないこと。遺骨は、万一人目に触れた時のことを考え、事前に2~3ミリの粉末にしておき、服装も喪服で着飾らずに平服にします。海洋散骨の場合は、人目のない沖合で行い、お供え物も花びらなど、目立たなくて自然に還りやすいものを選びます。また、海上は風があるので、遺灰をそのままばら撒かず、水に溶けやすい紙などに包むとよいでしょう。
自然葬は、自然と調和した埋葬方法と言えます。だからこそ、環境や周囲への配慮が欠かせません。
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